議案第5号 令和2年度日高市一般会計予算に反対の立場から討論をいたします。
本予算は、法人市民税の引き下げなどによって自主財源率が下がる厳しい中においても、歳入では補助金・交付金の獲得、新たな寄附制度の導入、眠っていた資金を活用する等の試みが見られ、歳出では年々増える扶助費、市民の安心安全に直結するインフラや公共施設の整備及び老朽化対策、また人口減少対策に苦慮のあとと工夫が見られるなど、執行部におかれては、大変ご苦労された予算組みだったと思います。
しかしながら、それでもなお、私には納得のいかない事業があり、本予算に賛成しかねますので、以下その理由を申し上げます。
まず、民生費の中の地域交流ひろば設置促進事業について、総括がされていないことです。本予算では、とうとう3万1千円にまで削減されてしまいましたが、この事業は、平成27年度387万円の予算が組まれ、1学校区に2か所、市内計12カ所に親子が交流できる広場をつくるとして、まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、子育て環境づくりの目玉事業とされてきました。私も大いに期待し、推進の立場から平成28年6月と30年9月に2度一般質問いたしました。どちらのご答弁の中にも事業縮小のお答えはありませんでした。しかし予算執行率が28年度9.8%、29年度33.7%、30年度12.8%といっこうに事業が進まず、にもかかわらず行政評価では常にランクAがついている矛盾もあり、このまま総括なく事業がなくなることは、市が子育て支援を重点施策としていることからも納得できません。
次に、総務費の戸籍事務1,513万7千円の中に、マイナンバーと戸籍を紐づけるためのシステム改修委託料などが計上されていることです。個人情報のみならず親族関係情報も含む戸籍と紐づけることについては、プライバシー侵害の危険性が高まるとして専門家の間にも異論があり、日本弁護士連合会からも実施しないよう国に意見書が提出されています。
同じく総務費のマイナポイント事業推進事務として583万1千円が計上されていますが、現在市役所1階に設けているマイキーID設定支援ブースを、引き続きマイナポイントの申込み補助などに使い、マイナポイントを市内の店舗で使えるようにするための経費ですが、ブースを設けた10月から約5ヵ月間でブース利用者は338人、一日2~3人しか利用していません。全額国費だとしても費用対効果が低すぎます。
これらの事業によって国はカード普及率を令和5年度までに100%にしたいと言っていますが、現在日高市の交付率は14.9%しかなく、職員がそのノルマに追われる可能性も十分にあり、その意味からも賛成できません。
マイナンバーはもともと税と社会保障及び災害対策のためだけに使うと言って導入されたにもかかわらず、今後国はマイナンバーカードを保険証として使える仕組みにしていこうとしています。医療情報という究極のプライバシーが侵害される恐れがあり、このようにずるずると利用が拡大されることに私は怖さを感じています。
次に、東京2020オリンピック関係事務について、聖火リレーに伴うイベント費用、ミニセレブレーション運営費用、警備費用など4,108万5千円が計上されていますが、そのうちの3,928万8千円は市の一般財源ときいて驚きました。市民がオリンピックの聖火リレーを見るというまたとない機会を盛り上げることに反対するものではありませんが、徹底した経費見直しをはかっている中で、JOCの意向が優先されるオリンピック関係事業に市が4000万円を負担するというのは、どう考えてもおかしいと思います。国や県へ財源措置の要望を出しているとのことですが、措置がされていない現時点で賛成はできません。
最後に、会計年度任用職員制度の導入により、雇用される会計年度任用職員、任期付き職員は、これまでの臨時職員の人数に比べ84人も減少しています。職や業務の見直しをされていること、人件費が大幅に増えることは承知しておりますが、これまで市の業務や教育を担ってきた方が84人も減少することは今後の市民サービス、教育に大きな影響をもたらすと考えます。
以上の理由により、本議案に反対をいたします。