昨日(7日)の新聞によると、
一昨年10月のいじめを苦に中2の男子生徒が自殺した問題で、
大津市の越市長が下村文科相に、
「教育委員会制度はもっと責任と権限の所在を一致させるべきだ」と
教委制度の改正を要望したという。
教育委員会の仕組みは本当にわかりづらい。
まず、「教育委員会」とよぶとき、首長に任命された5人(プラス事務局)のことをいう場合もあれば、
教育関係の各課(学校教育、社会教育、文化芸術、スポーツ等)を含めた組織全体をいう場合もある。
首長からの独立を特性とする教育委員会だが、委員を任命するのは首長だし、
予算編成権は首長にある。
5人の教育委員の中から教育長を「教育委員会」が任命する。
しかし教育長は常勤で教育委員は非常勤で報酬も一桁ちがうから、
誰が教育長になるかははじめから決まっているのだ。
教育委員会が決めたことを執行し事務を統括するのが教育長だけど、
教育長って実際のところ委員会側なの?執行部側なの?
ポジションが微妙。曖昧。
その教育長を監督するのが、これまた5人の中から互選で選ばれた教育委員長。
5人の関係が・・・わかりづらい。
教育委員会の決定が専門家の判断に偏らないように
住民や保護者からも委員を入れる、「レイマンコントロール」を謳っているが、
会議を傍聴する限り、専門家さえも事務方にコントロールされているという感が否めない。
1月31日の教育委員会会議を傍聴した時も疑問がむくむく。
教育長報告で、「平成25年度組織改正について」というのがあった。
○○部に△△課を新設とか○○課に△△課を編入とかいくつかある中で、
「学校教育部」と「生涯学習部」を統合して「教育部」を新設し、
教育部の生涯学習課に公民館総括事務を編入するというものだった。
しかも説明では「教育部」の部長は市長部局から出すという。
つまり教育者ではない人が教育部長になるのだ。
その是非は別にしても、
こんな重要なことが「報告」でいいのか??と一瞬耳を疑った。
組織改正は条例改正と議会での議決を必要とする重要な案件であり、
今回は教育委員会の独立性を揺るがすような案件。
当然「議事」であるべきでしょう?
さすがに委員から「これは市長の先決事項ですか?」という質問が出た。
当然議会を通さなければならないから先決はできないが、
委員が言いたかったのは「私は聞いてないが」ということなんだろう。
それに対する教育長の説明はあやふやで全く要を得ない。
他の委員も納得いかないようだったが、それ以上追求するでもなく、
いつものように「穏やかに」会議は終わってしまった。
しかも学校教育部と生涯学習部の統合の真意や具体的な政策、
統合による学校現場や公民館、児童生徒、市民への影響などへの質問が
どの委員からも一切出なかった。
なんのための会議なの?
こんな空疎な会議で日高市の教育の方向性が決まってしまうのかと
暗澹たる気持ちになった。
報告受けて承認するだけ。
「いかがでしょうか」と言われて「結構です」と言うだけの委員会では、
教育委員会解体論や教育委員公選制などが言われても
仕方ないのでは、と思います。
前々回のこの欄にも書きましたが、何かを決めるときには
それによって影響を受ける子どもたちや市民のことを
第一に、しっかりと議論をしていただくことを切望します。
(参考)地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条
「地方公共団体の長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分その他特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない」