2月6日(土)にさいたま市民会館うらわで開催された
埼玉県主催第22回川の再生交流会に午後の分科会から参加してきました。
私が参加したのは第4分科会
多自然の川づくりと環境保全<自然と心を結ぶ川づくり>

まず事例報告として、
「和田吉野川の多自然改修工事計画」について報告がありました。

熊谷市の和田吉野川はたびたび住宅地への浸水があり、改修が急がれています。
すでに従来工法で改修工事が終わったところもありますが、
未改修区間を多自然工法で行うことになったのだそうです。
川に接した比企丘陵の斜面林を削るのをやめ、
反対側の農地を買収してそちら側に河川を広げる工法に変更したのです。
用地買収を伴っても、山側の護岸工事をしなくてすむ分コスト削減できるそうです。
この工事は県河川砂防課初の本格的多自然改修工事だということです。

埼玉県河川環境団体連絡協議会(埼河連)作成の資料によると、
「川は出水により河道内に攪乱が起こり、
土砂堆積と浸食が繰り返され、流路に変化をもたらし、
河道内を自由に変化し流れることにその本来の姿があります。
この生命線を活かす計画案として、
本工事は埼玉県にとって歴史的転換事例です。」
とあります。

ああ、もう少し早く埼玉県がこの方向に舵を切ってくれていたら・・・

事例報告のあとは、参加者がグループに分かれてフリートーク。
和田吉野川の工事で行政との協働をされている方、
蓮田市でコウノトリを復活させる活動をされている方、
元荒川でカヌー下りなど多彩なイベントをされている団体の方、
環境について学んでいる学生さんなどから
様々な取り組みをお聞きし、また、高麗川まるごと再生プロジェクトの現状を聞いていただきました。
どの方も高麗川にコンクリートの造作物は要らないと言い、
工事が始まってしまったことを残念がってくださいました。

「行政と市民の協働がなにより大事」
「川は行政のものでも川沿いの人だけのものでもない」
「コンクリで固めるやり方はもう古い、自然を残し生活との調和を」
これは県内で真剣に川と向かい合う方々のほぼ一致した意見です。

しかしもう高麗川の工事は止められないだろう、
市民に比べ圧倒的な情報量を持つ行政と敵対しても勝ち目はない。
遊歩道ができる過程でも協働の道を探ること、
あきらめずに遊歩道ができてしまってからの活動を考えることなど
みなさんから貴重なアドバイスをいただきました。
川のことで真剣に、地道に長年活動されている方たちに出会えて、
ほんとうに参加してよかったと思います。

第5分科会「100プランとまるごと再生事業」には日高市から
市民団体「リンクス高麗川」の代表が参加していました。

ちょっと驚いたのは、閉会式で「閉会にあたってのまとめ」として
埼河連の代表から高麗川まるごと再生プロジェクトについて言及があったことです。

「まるごと事業で日高市が計画した高麗川再生事業は、河川内にコンクリートの遊歩道を整備するものです。埼河連は知事に対して断固反対、計画の修正を求める声明を発表しました。県庁で2回、日高市で1回、飯能県土で2回折衝して、一定の修正はありましたが、河川にコンクリートの基本計画は着工されています。地元NPOとの協力のありかた、再生事業検討会議の最終時期にしか対応できなかったという埼河連の対応のまずさなど、反省の残るものとなりました。」

この反省がせめて今後の河川改修や親水事業を進める際の教訓となることを願います。