子どもを学校に通わせるには、保護者は様々なものを購入しなければなりません。
授業に必要な算数セット、絵の具セット、書道セット、裁縫セット、彫刻刀、リコーダー、鍵盤ハーモニカ、実習や実験・観察の材料など。
体操着、給食着、水着、上履き、通学帽など学校指定のもの。
ランドセルや通学バック、傘など通学に必要なもの。
また、修学旅行の積み立てや生徒会費、PTA会費なども納めなければなりません。


文部科学省が2年に1回行っている「子どもの学習費調査」は、保護者が1年間に子ども1人のために支出した教育費の実態をとらえるための調査です。
平成30年度の結果を見ると、学校に納める「学校教育費」「給食費」、塾や習い事などの「学校外活動費」の3つの合計が、公立小学校で321,281円、公立中学校で488,397円という驚くような額です。
このうち、「学校教育費」だけを見ても、公立小学校で63,102円、公立中学校で128,961円。
公立で!1年間に!子ども1人に!です。
日本国憲法第26条「義務教育は、これを無償とする」
これには程遠い現状です。

平成30年度子供の学習費調査の結果
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf

(下のグラフは田中作成)

公立小中学校学習費グラフ

日高市での実態はどうなのか。

質問するにあたり、学校教育課に、教材や道具セット、制服、遠足や修学旅行費など、保護者が1年間に学校に納める費用の平均額を調査してもらいました。(給食費は除きます)
小学校では、低学年で約18,000円、中学年で約19,000円、高学年で約33,000円。
文科省の調査との乖離は、ランドセル、体操着などの入学準備品や個人で用意する文房具等が入っていないためです。
中学校では、1年女子が約168,000円、男子が約152,000円、2年生が約68,000円、3年生が約25,000円。
こちらは制服や体操着代が入っているので1年生が高額になっています。
これとは別に、部活の費用(部費、用具代、ユニホーム代など)がかかります。
お子さんが多いご家庭はこの数倍負担していることになります。


これらの数字をもらった上で、質問をしました。

Q. 公費負担と私費(保護者)負担の区分は。
A. 学校や学年全体で使用するものは公費負担。児童生徒個人が使用したり持ち帰ったりするものは私費負担。

Q. 市の予算から各学校への配当金(令和2年度決算で約2,800万円、1校約150万~250万円)のうち、教材用消耗品費に充てられる割合と子ども一人当たりの額は。
A. 学校配当金の70%以上が教材消耗品に充てられ、児童一人当たり約3,100円、生徒一人当たり約6,600円。

Q. 保護者負担との差がありすぎる。先生のやりくりも大変。文科省は令和2年度から、教材整備の財源として単年度800億円×10年間の交付金措置をしているはず。学校配当金の予算を上げるべきではないか?
A. 議員指摘の交付金は、使途が特定されない地方交付金として算入される。きびしい財政状況の中では特定財源なしに予算を増額することは困難な状況。

Q. 中学の制服、ジャージなど入学時に揃えるもの一式の平均額は。
A. 6校の平均は、女子が約97,000円、男子が約81,000円。(差があるのは女子の制服や水着の仕様が異なるため)

Q. そもそも制服が高すぎる。愛知県鳥羽市の中学校では、ユニクロの既製服を制服に採用している。日高市内の取次店のでも、在庫管理が大変なので6校同じ制服でもいいのではないか、と言っている。制服などについて入札はしているか。
A. していない。保護者負担の軽減につながる手段として今後の検討課題とする。

Q. 学校教育法第19条によって設けられている就学援助制度では、保護者の負担をどれくらいカバーできているか。
A. 学用品費、入学準備品、郊外活動費など、8割超をカバーしている。(制度を利用している小学生10.5%、中学生13.8%)

Q. 子育て支援の観点からも保護者負担軽減を図るべきと考えるが、具体策は。
A. 教材の必要性や購入方法を見直し、制服リサイクルを進める。地域全体で子どもたちを支えるシステム作りを、学校運営協議会を中心に検討していく。

Q. 個人持ちのものであっても、授業に必要な教材は公費で負担すべきと私は考える。これまでの教材のあり方にとらわれず、教材の共有・共用、貸し出しなど検討してほしい。
A. コロナ禍では教材の共有・共用はなるべくしないよう指導しているところだが、保護者の負担軽減の観点では、検討の余地があると考えている。

☆子どもの権利条約や日本国憲法に規定された「義務教育無償の原則」から乖離しすぎている保護者の教育費負担。
援助の制度はあるにしても、あまりにもお金がかかりすぎます。
これでは子どもを産むのを諦めてしまう家庭もあると思います。

国は、もっと教育費を増やすべきです。(マイナポイントとかホント、要らんから!)